反転授業について

反転学習導入の経緯

従来の学習形態

授業 (一過性の指導)  →  復習(授業の理解度が低いまま行う演習)

反転授業

予習(映像で授業のポイントを理解)  →   授業(2回めの講義)
​→ 復習(かなり授業が理解できているので、時間がかからない演習)
 

反転授業導入の経緯

平成24年度、学習指導要領の改訂、中学校全面実施により、中学1年生の数学の教科書は主要6社平均、147.4%増加しました。(文部科学省「中学校用教科書目録」より)授業時間数はほとんど変化がないため、子供たちの学力を維持していくためには、学校でも、そして民間教育の現場でも、根本から学習方法の見直しを迫られる事態となりました。

私たちサンエールでも、従来型の授業と復習を主体とした家庭学習では、大きな成果が期待できないという事態に直面しました。
そこで、サンエールでは家庭学習の原点に立ち戻り、授業の理解度を向上させることに焦点を当て、当時、注目されはじめた「反転授業」をベースとした予習中心の家庭学習の導入を決めました。
もちろん、学校と連携した学習方法ではないため、本来の反転授業と違い、学校の授業が復習や議論の場になるわけではありません。しかし、従来難しいとされていた家庭での予習が可能になり、予習導入以前より授業の理解度が増したことは、多くの会員様が証明してくれました。
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反転授業とは

現在学校で展開されている授業では「講義を受けること」が主流ですが、反転授業では「講義を受けること」は“宿題”となります。教師は説明型の講義を動画として用意し(授業ビデオ)、それを生徒が宿題として家庭などで視聴しておく。
学校での授業時間は、生徒たちが予習で得た知識を応用して問題を解いたり、議論を行ったりします。
学校の授業時間内の講義時間を減らすことで、授業中は教師が生徒ひとりひとりに対して、よりきめ細かい対応をすることができる。また、生徒にとっても、自分のペースで学習に取り組める点もメリットです。

アメリカ、カリフォルニア州の公立小学校に勤めるハイフィル先生は、ビデオ授業の動画が何度でも巻き戻せたり、再生速度を調整できる点を評価。生徒の授業への取り組み方についても、次のように話しています。

「一日に数時間しかない教室での時間は貴重なので、新しい知識を学んだり、記憶したりすることではなく、知識を実際に自分の力で活用することに重点を置きます」

 

「一斉講義をやめた米の教師たち 「反転授業」を展開」より

反転授業を実施しているアメリカの学校では、「テストの前などに動画を見ることが出来て、わかりやすい」と生徒からの声も上がっています。
 

反転授業は10年後は主流となる

東京大学大学院の山内祐平准教授は、ブログで、10年後には反転授業が主流になると予想し、その理由を「実質的な学習時間が増えるから」と指摘しています。

以下、山内祐平准教授ブログ「【記事公開】未来に備えるための学習」より
 
(高次の思考能力を育成する)活動が普及しなかった最大の理由は「時間がない」ためであった。限られた授業時間に応用的な活動を導入すると、基礎知識を習得する時間が足りなくなってしまうのである。このことが「知識習得」と「思考能力」のどちらが大事かという論争の原因になっている。
 実際には、知識に基づかない高次思考能力は存在しないし、応用できない知識は無意味である。「知識習得」と「思考能力の獲得」を両立させるためには、学習時間を延ばすしかないが、学校の時間はもはや隙間なく埋まっている。この難問を解く鍵になるのが、授業と自宅学習の連続化による学習時間の確保と学習目標に合わせた時間の再配置なのである。
 

わたしたちが予習にこだわる理由

前述のように、反転授業が家庭学習に多くの利益をもたらすことはご理解いただいたと思いますが、私たちの本音は、お子様が「授業が楽しい」と感じ、今までどちらかというと受動的に受けていた授業が、能動的に、積極的に参加することができようになってほしいという願いにほかならないのです。
予習をすることで、日々の学校生活が充実したものになり、自信が持てるようにれば、家庭学習は自ずと楽しいものになると確信しています。